カンピロバクター食中毒の発生件数は、国の感染症情報センターの統計1)によると、
2003年までは400件台であったものが、2004年558件, 2005年645件と増加しており、
患者数も1999〜2001年まで約1,800名でしたが、2002年以降2,000名を超え、2005年には
3,439名にまで増加しました。愛知県では、1996年まではカンピロバクター食中毒の発生
はほとんどありませんでしたが、1997年以降はほぼ毎年発生がみられ2006年には5件
(患者数29名), 2007年には10件(患者数121名)発生しました。
また、1999〜2005年に発生した全国のカンピロバクター食中毒事例のうち原因食品が判明し
たのは350件中182件で、鶏肉を中心とした肉類もしくは牛レバーなど内臓の生食によるもの
が大半であったと報告しています。さらに、飲食店での発生の他にキャンプ場などの野外活
動と関連しての発生も増加しており、その原因として、バーベキューなどに用いる食材とし
て、鶏肉が好んで用いられていることも一つの要因ではないかと推測されています。多少生
焼け状態でも鶏肉なら安全と過信され、カンピロバクター腸炎の発症率の高い食べ盛りの年
長児は食べてしまう傾向にあるようです。
また、カンピロバクター腸炎発生にはその他の細菌による腸炎がピークを示す夏期(7−9
月)よりやや早い5−7月にピークがみられ、サルモネラ、腸炎ビブリオ等による細菌性の食中毒の発生が少ない冬季にも発生が認められています。
さらに、問題になっているのは本菌がギランバレー症候群の原因ではないかと疑われている
ことです。ギランバレー症候群とは急激に発症する主として運動障害を起こす末梢神経疾患
で、下肢の筋力低下による歩行困難、顔面の神経麻痺、それに重症例では呼吸筋も侵されて
人工呼吸器が必要な場合も起こりうる病気ですが、本症候群とカンピロバクター菌との関連
が推測されています。
返信する